メモ帳DPA

ぐぐってあまり引っかからないような何かがあったら書いたりする

眼球の中にレンズ埋めた話

メガネは素晴らしい製品で、強度の近視と乱視を患っていながら普通に生きてこれたのは完全にこいつのおかげである。
ただ、たまに拭くのが面倒、寝ながら使いづらい、曇る、といった些細な難点もあった。

現状維持で別に不便でも何でもなかったんだけれど、無くて済むなら無いほうがいい気もしたのでなんとなく対処することにした。

方式

視力の矯正手段として主流なのは以下らしい。ちなみに上のほうがリスクが小さい。

・眼鏡
コンタクトレンズ
・オルトケラソロジー
・ICL
・レーシック

コンタクトは付け外しとメンテが面倒過ぎて数年でやめた。
オルトケラソロジーは寝るときにレンズを付けて起床後に外すと矯正効果がそのまま持続する方式だそうだが、付け外しが面倒そうなので却下した。
強度近視だとレーシックは出来ない。補正幅が大きいほど角膜削る量も大きくなるのが理由で、-6Dくらいが限界とのこと。私は-13Dあるので駄目だった。

ICL

ということでICL手術をやった。
これは目を切開して黒目の裏にレンズを組み込む方法(表に入れる方法もある)で、目を削らなくて済む、戻そうと思えば戻せる、長期的に効果が安定、後遺症や再近視化リスクが低、あたりが利点とされているらしい。
雑な理解としては、白内障手術で既存のレンズ抜かずにコンタクトレンズ突っ込むようにした感じに近い。
ネックは値段で、だいたい70万程度かかる。単純比較するもんでもないけど、諭吉一人で眼鏡が買えるのを考えるとかなり割高感はある。

測定

手術実施を決める前に、カウンセリングと検査が行われ、部屋に並んだ謎の機械を1つずつ移動しながらかなりの項目を測定された。10数項目くらいはやった気がする。
検査の結果、片目は眼内の凹凸の構造が若干特殊だったらしく、通常の角度(左右方向)で配置できず90度回転しての配置になるとのことだった。

乱視

眼内レンズには乱視入りのものもあり、通常はそれで近視と乱視が同時に直せる。
ただし、通常と別角度での配置となる点と、また手術後にレンズが眼内で回転する可能性がある点から、乱視入りは非推奨とのことだった。近視は特に角度に影響しないが、乱視には方向があるので、レンズが回転すると矯正の向きが合わず余計に見えなくなったりするらしい。
近視だけ矯正した状態をメガネ(上からレンズ何枚も指すタイプのあれ)をつけてテストしたところ、字も読めるし特に問題無さそうだったので、近視だけのレンズを入れることにした。

手術

契約して前金30万を払うとレンズが手配されて次は手術待ちになる。レンズの在庫があったため、翌週に手術が出来た。
ちなみにレンズの状況によってはここで数週間待たされるらしい。

事前に麻酔投与や検査があるが、手術自体は数十分程度ですぐに終わった。
手術台に固定され、目を閉じられないようにする装置を突っ込まれ、照明を直視させられ、開いてる目に向かって謎の器具が迫ってくる、って流れは何だか拷問めいていてちょっと怖かった。実際は麻酔かかってるので特に痛みはない。

目薬祭

手術は一瞬だったが、その前後でいろいろな目薬を山ほど注す必要がり、そっちのほうが面倒くさかった。
手術3日前から、3種類の目薬を1日各4回と抗生剤の飲み薬が必要で、当日は3種を1時間毎、1週間は3種を1日5回くらい注すことになった。一時的なものとはいえ思ったより手間だった。

さらに、術後一週間は、

  • 洗顔不可
  • 日中は防護ゴーグル着用
  • 寝るとき眼帯着用

が必要になる。
眼の切開箇所は縫合せず自然治癒待ちなので、そこから細菌が入って感染症になることへの対策が主らしい。

また、手術後から1日、1週間、2週間、1か月、3か月、6か月、1年にそれぞれ検診がある。
手術よりその前後のほうがやることが多い。

近視解消

特に問題なく終わり、おかげで無事眼鏡なしでも生きられるようになった。
これまでは常時ほとんど見えない謎の空間だった風呂とか床屋なんかがはっきり見えるのはちょっと新鮮な感じがある。VRゴーグルの付け外しが楽だったり、寝ながら携帯弄りやすかったり、風呂でタブレット使えたりするのも結構便利。

ただ風呂がはっきり見えるのにはマイナスの面もあって、汚れている風呂と汚れていない風呂がこれまでは重ね合わせの状態にあったお陰でたまにやる雑な掃除で済んでいたのに、汚れている風呂にすぐ収束するせいで必要な掃除の頻度が増えたりなんかもした。

やっぱ乱視疲れる

...と無事終わったと思ったが、細かい文字を長時間読むと疲れやすくなってしまった。乱視は近視ほど強くなかったので甘く見ていたのだけれど、やっぱり乱視の矯正も必要だったようだ。結局、乱視はレーシックで矯正した。

数分のテストで見えたからと言って乱視無しにしたのは完全に失敗だった。見えるからといって疲れない訳でもないらしい。
削らないで済むというICL手術のメリットの一つが完全に台無しになってる感はあるが仕方ない。削る量は少ないし、無理に乱視入りにして目の中で回られるとそれも面倒なので、取れた選択肢の中ではマシな方ではあると思う。
なお前房型なら最初から乱視入りのレンズも入れられたらしいが、選んだ医者では基本的に後房型だけだったのでいまさら気にしないことにする。

ICL手術後すぐにレーシック手術を行うことはできないので、6か月検診完了後までの間は、乱視だけ入った眼鏡を新しく作って使う羽目になった。

おわり

元々0.02くらいだった視力が両目とも1.2になった。術後1年くらい経ったが特にドライアイになったり光が眩しすぎるといったこともない。
手術費は正直くっっそ高いが、金さえ払えばステータス異状の回復とかパラメータアップ的なのが永続的に得られると考えればまあそこまで悪くもないかなあとも思った。