VRヘッドセットの無線化はかなり重要な要素だと思うんだけど、期待の星だった公式のHTC Vive Wireless Adapterは技適のせいで日本での発売が無くなり、堂々と合法で使えるのはTPCAST一択になってしまった。とてもかなしい。
そのTPCASTは無線化はちゃんと果たしてはくれるものの、(商品化第一号だからしょうがないんだけど)いろいろと細部が練られてはいない。
けっこうあるイマイチなポイントをなるべく潰して、使い勝手を多少なりともマシにするためいろいろ試したのでその辺について書きます。
ファームウェアの変更
TPCASTはソフトが結構不安定で、接続に失敗する時がたまに出てくる。1回接続できたら再起動するまでは安定するんだけど、いざ使おうという時にすんなり繋がってくれない場合はかなり鬱陶しい。
非公式で開発されているOpenTPCastなるファームウェアがあって、それを入れたら今のところは安定して繋がっている気がする(もともと頻度は高くないのでたまたまかもれない)。
TPCastは、バッテリ装着部がmicroSDからブートするraspi的なミニPCになっていて、USBデバイス関連は無線LAN経由で、映像のみ送信ユニットでやり取りする作りらしい。分解して単にOpenTPCast書き込んだmicroSDに入れ替えるだけなので導入は結構簡単にできる。
全然使わないので個人的には別にありがたさは無いけど、通常のTPCASTでは無効化されてしまうマイクがOpenTPCastだと使えるようになったりもする。
NW越しにUSBデバイスを認識させることの出来る、VirtualHereという有償ソフトがあり、こちらをTPCASTの付属ソフトの代わりに使うことになるので、$25のライセンス費が必要になる。
このソフトはOpenTPCastの流れで初めて知ったんだけど、装置をデバイスサーバ化できてUSB機器をワイヤレスで接続できるので結構他にもいろいろ便利に使えそうな感じがする。
一体化
バッテリ+ミニPC部分は頭頂部からケーブルが伸びていて、ポケットやベルトに別途付けるという作りになっている。これは頭部の軽量化になっている一方装着の手間は増える。
この辺は好みによるだろうけど、私としてはヘッドセットに一体化していたほうが嬉しいのでくっつけることにした。
Thingiverseにマウントの3Dデータが公開されていたのでそのまま使った(バッテリ周りの白い部分)。もし3Dプリンタ無くてもそのまま適当に括りつけるだけでも大丈夫だとは思う。
バッテリの着脱がしやすい作りになっていたが、私の使い方だと付けっぱなしなので滑り止め(輪ゴム)付けて固定した。
電源スイッチ
TPCASTには電源スイッチがない。バッテリをミニPC部分と合体させたら勝手に起動し、外したら落ちるようになっている。
挿しっぱなしにしていると電源使いきるまで動くので、都度外さないとならない。また、合体中は充電ポートが配置上物理的に塞がるので給電もできない。
これは地味ながらかなり面倒なので、バッテリとTPCASTの間に二股のUSBケーブルとUSBのON/OFFスイッチを入れて、つけっぱなしのまま電源切り替え出来るようにした。
軽量化/高速充電
TPCASTのバッテリはAnkerの市販品の PowerCore 20100 がそのまま使われている。TPCASTの箱のなかに普通にPowerCoreが箱ごとそのまま一式入っていて割り切りがなかなか潔いなと思った。
バッテリ側の急速充電に非対応で充電が遅く12時間くらいかかるのと、353gあって頭に付けるにはくっそ重かったのが気になったので、PowerCore II 10000に置き換えた。出力が1ポートに減っているが二股で繋いで普通に動いてくれた。
標準の20100mAhだと稼働時間は5時間とのことだが、私の使い方だとVRゲー5時間もぶっ通しでやることは体力的にまず無いので容量半分でも特に不自由はなかった。(VRChat一日中やってるみたいな人とか配信に使う人なんかだと困るかもしれない)
なお給電さえできれば良いので別に他社製のモバイルバッテリでも普通に動く。マウントがそのまま使える以外はAnker製にする必要は別になかった。
似た構成としては、小型バッテリ2個に分割して左右に配置する作例なんてのも見つけた。
TPCAST用バッテリの話は以下が詳しい。単に予備バッテリ欲しい人もPowerCore II 20000があるので添付品と同型番買う必要はないっぽい。
www.reddit.com
マグネット充電
バッテリの充電のためにMicroUSB抜き差しするのが面倒なのでマグネット式にした。よくあるマグネットコネクタを普通にバッテリの充電用ポートに挿しておくだけ。
適当にケーブル近づければくっついて充電出来るので充電が楽になる。
ルータの撤去
TPCASTの導入にあたって、現用のルータとPCとの間にTPCAST用ルータを挟めと指示される。無線化するだけのためにネットワーク構成に盛大に影響与えてくるのはどうなのよという感じだし、無駄に複雑になるだけなので何も良いことはない。
マニュアルはこの辺の説明を完全に放棄しているんだけど、実際の所はNW越しのUSBデバイス関連のやり取りに使ってるだけのようで、PCのNICが2ポートあれば片方にTPCASTルータ単に挿すだけでちゃんと動いてくれる。それどころか、TPCASTの接続先を既存のルータに変えても普通に動く(OpenTPCastだと接続先が指定できる)。
相性問題とかルータ性能とか説明の簡略化あたりのためだろうとは思うけど、既存のルータでちゃんと動いたら付属のルータの存在価値は全く無いので撤去してよい。動いたから撤去した。
ちなみに、ルータはリセットボタンが結構押しやすいところに付いているにも関わらずリセットすると繋がらなくなる仕様らしく、「押すなよ」という内容が書かれた後付の注意書きペーパーが同梱されていたりする。試したことないけど、ミニPC側から繋ぎに来るSSID/PASSは固定されていてルータ側設定と合わせてあるっぽいのでその辺が合わなくなるのかもしれない。
未解決の課題
TPCASTの電源が入っていない時、HDCP非対応モニタが接続されている扱いになるという仕様らしい。
Nasneで録画した番組を以前はPC TV Plusで見てたんだけど、HDCP必要なアプリは使えなくなるので結構困る。
使わないときは有線で常に通電させておくという手もあったが抜き差しが面倒なのでやめた。
試しにHDMI引っこ抜いたりリンクボックスの電源落として戻した際にすんなり復旧してくれなかったので、切替器やリモコンコンセント等で制御する手も駄目そうな感じがする。(試してはいない)
今はNexus Playerにtorneアプリ入れてキャプチャボードから再生させているが、操作がPC側のマウスとキーボードと独立してるのがあまり良くない。
何かいい手ないですか。